障害のある方が地域で生活していくためには様々な障害がある。
その障害をサポートする仕組みとして障害福祉サービスがあり、様々なサービスを行う事業所がある。
うちはこれまで、稲敷市内で障害者が安心して生活する仕組みとして、住む・働く・相談するといった事業を作りサービスを行ってきた。
これらがあればとりあえず地域で生活していけるだろうと思っていたからね。
もちろんまだまだ必要なニーズを見たしているかというとそうでもない。
サービスの種類も数も全然足らないので、これから徐々に増やしていこうとは考えている。
働いて住んで相談する。
「これだけできればいろいろ改善できる」とは思う。
まあ、ある程度社会になじんで生活できるとは思うけど、それでもみんなと同じような生活をしたり、地域の方々との関わりにはまだ大きな距離があるんだ。
これは先日、R-SICに参加して感じた事なんだけど。特にスタディーツアーで。
車イスに乗って町へ出たりコンビ二に行ったり。
アイマスクをして町を歩いてショッピングセンターに行ったり。
(障害者支援者の方がガイドしてくれています。)
実際に町に出てみるとね、ちょっと進むだけで障害ばっかりなんです。
段差が多かったり、点字ブロックがあったりなかったり、急になくなって困る時もある。
トイレは使えないし、キャッシュディスペンサーは車イスからは見えにくいし、後ろから暗証番号が見られてしまう。
目が見えない中、同伴者と弁当を買っても、説明されても商品の想像がつかないし、味も分からない。
ショッピングセンターに行っても段差は多いし、歩行スペースに商品が陳列されて通れない。建物自体が非常時に逃げられない構造になっている。などなど。
あげればきりがないくらいの障害がある。
バリアフリーやユニバーサルデザインを考えると、障害者用トイレ(多目的)を作ってスロープを作ってとかを考えるけど、それ以外の障害が町には多すぎる。
何となくみんなの視線や対応が気になったりなども含めてね。
体験してみて感じるのは、自分だったら日用品を買うだけで一日が終わってしまうということ。
これはやってみないと分からない。
「障害者って大変だよね。」って理解したとしても、その2倍3倍は障害理解ができる試みだと思う。
福祉の大学では授業で同じことをしてたんですけどね。
この取り組みに一般の方々に参加してもらうということは、障害者への理解やソフト面の改善に大きくつながる。
施設側のハード面はコストなど金銭に大きく関わる。
そこを変えていくことはもちろん大事だけど急速に変えていくことは難しい。
その中で障害をなくしていくためにはソフト面の改善が大事なんだよね。
「あたし、困っています。誰か助けて下さい。」
「何に困っていますか?手伝いますよ。」
これで町に出た時のいろんな障害が消滅する。
ただ一般の方々は関わり方が分からなかったり、障害のある方々は気を遣ってお願いしにくかったりするのもあると思うけどね。
お互いを理解することが大事だし、そのための取り組みを行っていくことがこれからの活動に必要なんだと感じた。
病院から地域へ。
地域にある施設へと拠点が移り、より地域社会での生活が出来るようになってきた。
でも施設の中で完結してしまう生活は、地域住民との距離があり、まだまだ閉鎖的な福祉社会なのではないか?
関わりが少ないから彼らを知ることができない。
それが偏見をもとうと思っていなくてもできてしまう距離感につながる。
地域の祭りへ参加したり、祭りをやるだけじゃなく、彼らと共に時間を過ごしたり、体験を共有できる場をどんどん作っていきたいと思う。
そしていろんな人が障害を知り、体験を通して自分ごととして考えて理解が深まり、距離が縮んでいけるようにね。
(誰もがゆくゆく障害者になるんだから早めに知った方が良い。)
その手段の一つとして、障害者理解のため、また地域での障害の分布を知るうえでも、アクセスビリティマップ作りはとても面白い効用があると思う。
こんな感じの手作りマップ。これを誰もが利用できるアクセスビリティマップへ。

障害者と一般人(健常者)が、共に関わりながらマップを作っていく。
この試みがハード・ソフト両面の改善をもたらし、今より楽しい社会の在り方を作っていけたらいいなと思う。
これをワークショップで行い、ソフト面での改善を今後は狙っていきたい。
そして教育分野に絡んで早い段階でユニバーサルの考えを教えていけたらと思う。
それがこれからの課題。