福祉 2.0 とは何か?

最近いろんな分野で2.0って聞くようになったので、福祉のことで考えてみる。

福祉も30年問題もあり大きな転換期にある。

制度的にもそうだけど、サービスや支援のあり方も大きく変わっていく必要があると感じている。

これまでの精神保健福祉は、精神障害者の私宅監置(自宅にて監禁すること)に始まり、精神病院での治療(私宅監置から保護治療へ)が始まる。
その後、精神病院や障害者の調査が行われて、様々な制度の転換を経て、精神衛生法が成立。私宅監置を廃止・禁止した。
それからも変化をし続けて、治療から社会復帰までの政策が提言されるに至った。

*歴史については、かなり端折って書いているので、そのつもりで読んで欲しい。

徐々に拘束することから、開放・社会復帰へと転換していった。

しかし、ここで問題が起こる。
1964年にあったライシャワー事件だ。

1964年(昭和39年)3月にアメリカ大使館門前で当時19歳の統合失調症患者にナイフで大腿を刺され重傷を負った。この時に輸血を受け「これで私の体の中に日本人の血が流れることになりました」と発言し多くの日本人から賞賛を浴びたが、この輸血が元で肝炎に罹る。その後、これがきっかけになり売血問題がクローズアップされ、その後日本において輸血用血液は献血により調達されることになる。この事件は「ライシャワー事件」と呼ばれ、精神衛生法改正や輸血用血液の売血廃止など、日本の医療制度に大きな影響を与えた。(Wikipedia より引用)

この時に「精神障害者を野放しにするな!」というマスコミのキャンペーンが行われた。

魔女狩りの始まりだ!

社会への開放から隔離へ。

世界は開放に向かう中、日本は病院、施設収容が増えることになっていく。

それからも制度変更は行われるが、1970年に始まった小規模作業所運動開始。
これが大きな転換期だと思う。

施設収容から地域へ。

偏見が多い中、先代の支援者たちが社会と戦い、より開けた福祉制度の設立へ邁進した。既存の制度が生まれることになった活動だ。

ここまでが、福祉1.0(これは自分の視点ね。)

なんでこの話をするかっていうと、最近ライシャワー事件時代から作業所を運営し、現在も当事者支援をする団体の代表や職員の話を聞いたからなんだよね。

現代とはレベルの違うほどの偏見を受けながらも、当事者と支えあいながら活動を続け、現在の制度の礎を担った人たち。
凄すぎるよね。
当時の話を聞いたら感動したんだ。俺にはできないだろうねって、普通に思った。

そしてその代を引き継ぎ、現在の障害者総合支援法という地域移行の制度にまで発展させてきた世代。
この人たちが今、地域福祉の先頭を走り、舵取りを行っている。
この世代までが、福祉1.0 なんだと思う。

ちなみにこれは茨城県での話。自分の印象だけど。
43~47歳くらいの人たちが担っていると思う。
他の県では特色が変わるかもしれないけどね。

その発展してきた地域福祉の次の担い手である僕らの世代。

これからが、福祉2.0 なんだと思う。

これからを担わなくちゃいけない世代。

ITやIOT、ビックデータにAIなどなど。
技術作新が進む昨今。
それらを活かして今後の地域福祉をどう作っていくのか?

それぞれが問われるところだ。

自分が感じている福祉の問題点は、当事者や支援者、その家族や知人、それ以外の方が地域福祉の現状をほとんど知らないことなんじゃないかと思う。

共生社会と叫んでも、実際の社会とは大きな断裂が生じていること。

あなたは、地域にある福祉事業所を知っていますか?

多分知らないよね…。
必要になるときにしか関心がいかないから。

でも、福祉は公共のものであってみんなが必要なもの。

これから必要になるなら早く知った方が良いし、それを知らないからこそ、接点がないからこそ偏見になってしまう。

知られていない現状は何故なんだって思うけど、それを作っているのは、自分を含めた福祉関係者によるところも大きいと思う。
情報を発信していない福祉の村社会。社会から隔離された福祉の閉鎖社会。
学校文化にも近いことが言えると思うけどね。

その情報の垣根の打破が、断裂を生んでしまう距離感の打破につながる。

だからこそ自分はどんどん情報発信をしていきたい。

それに、より開けた社会政策となるような活動を行う。
それがおんらが村構想。

他の県ではやっているところもあるけど、障害、高齢、子ども、地域の人々、みんながあたりまえに交わる空間を作っていく。

そのごちゃまぜなコミュニティが、これまで空間を分けられてきたことからくる距離の断絶を紡ぎ、知らないことから生まれる偏見の打破につながると思うんだ。

それが自分にとっての 福祉2.0 であり、やりたいことなんだ。

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