てらこむスタッフの卒業式

今日はてらこむスタッフのゆうさんの卒業式を行いました。

てらこむは今から約3年前に稲敷市初の子どもの学習支援事業として始まった事業。

子どもの貧困が社会課題として叫ばれ、茨城県内でもいくつかの学習支援事業が立ち上がる中、稲敷市としても子どもの支援の重要性を考えていました。

そのため、市でも学習支援事業を始めていくことになり、委託先の選定にうちも(SMSC)も手を上げて、委託を受けることができたという流れ。

市への説明でも「うちはできます!」と自信満々に言ってたけどが、うちもこの事業が初めてだからね。どうなることかと不安だった。マジで!

そんな不安な運営体制の中、初期からボランティアメンバーとして参加してくれていたゆうさん。

今でこそ、スタッフも動けるようになり、子どもたちもスタッフの安定にともなって成長してきたけど、これまではスタッフ間での意見の食い違いや事業の意味や運営方法など、いろいろぶつかりがあったし、離れていく人もいた。

それでもボランティアからスタッフへと関わってくれました。
安定とは程遠い運営ながらも信じてついてきてくれたことにとても感謝しています。

以前にも載せた写真だが、この写真がみんなの学校プロジェクトにつながっているんだよね。

障害によって支援が必要な彼が子どもたちに勉強を教えて、子ども達がそんな彼の車椅子を押すことによって彼を支援している。

これは、みんが何かをできて何かができない。

だからこそ、自分ができることをすることで、お互い様の社会を作ることが必要なんだと感じた出来事でした。

この子以外でも勉強を教えてもらったKちゃんが、「私が大人になったら、看護師になってお兄ちゃんの車椅子を押してあげるね!」と言っていた。
この言葉に多様性から生まれる個々の必要性を強く感じたんだよね。

これらの体験が「みんなの学校」につながっている。
いろいろできなくても、できることで支えあえばいいんだって。

ゆうさんが活動に参加してくれたことで、自分自身もいろいろ学び、次のステージへの足がかりも見えてきたと思っています。

いろいろ支えていただきありがとうございました。
そして、これからの初めての就職。大変だと思うけど頑張ってね。

以下、卒業式の様子です。

以上、とても楽しく会を終えることができました。

関係者の皆様、お疲れ様でした。
また、来年もよろしくお願いいたします。

幸せの連鎖を繫いでいきたい

ちょっと前だが嬉しいことがあったので書いていこうと思う。

まず事務方から、
「〇〇さんからお金が振り込まれているけど、何のお金か誰か知ってる?」
と話があった。

「分からない、何で?」

誰も知らない。

それもそのはず、その子はSMSC で仕事の訓練をして、就職したから今はサービスを利用していない。

なんでだろう。
と疑問に思い、相談員が本人に電話をして確認する。

すると、

「これまでパートでしたが、正社員になることができました。そのお礼に寄付しようと思っていました。」

それを聞いたスタッフは嬉しさのあまり目から涙が…

これまでも楽ではない生活してきて、やっとの思いでの就職。それでも生活は厳しいはずなのに、感謝の思いで寄付してくれるとは、なんて純粋な子なんだと自分も感動した。

金額も〇〇万円と本人の生活水準より明らかに多い金額だ。

いらないよって言ったけど、気持ちなんでと受け取ることになった。

その後、きちんと事務所に挨拶にきてくれた。今の自分の生活と兄弟への想いなど語ってくれていた。自分も辛かっただろうに、他を思いやれる気持ちがあるのは彼の強さなんだろうなと思う。

うちらがサポートしたところは後押しだけだ。ほとんどは彼の努力と潜在的な力だと思っている。だから大丈夫。これからもやっていけるだろうから頑張ってな。

それと弟くん。
君も見てるだろうから伝えるよ。
社会は残酷で、生まれた瞬間に、ある程度人生が決まってしまっている部分はあるかもしれない。でも、それを乗り越えて、自分の力で少しでも人生を変えることはできる。
だから、お兄ちゃんを追っかけて頑張りなさい。応援してるよ〜。

さてさて、法人としては小さい金額だけと、彼にとっては大きい金額。
キャッシュフローですぐに飛んでしまうかもだけど、この金額はきっちり胸に刻みます。

さて誰の何にサポートしようか。(幸せの連鎖)

SMSCに寄付してくださる方は下記より寄付できます。
http://www.npo-smsc.jp/join

みんなの学校プロジェクトで「地域福祉」をアップデートする。

「礎」の2018年、変化を始めた1年に。


2018年はどんな年でしたか?

何にも始めてないと思っていたけど、振り返ってみるといろいろあった年だったな。

「おんらが村」の村民たちが地域の困り事を解決する便利屋サービス「猫の手商会」、稲敷市の地域資源・人的資源を見える化し、適切に届ける基盤をつくる「生活支援コーディネーター」、本格化する学習支援事業てらこむやまちキッチン「あえる」などなど…

これまで精神保健福祉に特化していたSMSCが大きく「地域」や「まちづくり」に舵を切った1年だったと思います。


法人としての定款で謳う目的も、今年は変わりましたよね。

そう。

今年から掲げている目的は「すべての人が安心して暮らせる地域社会の実現に寄与すること」。

そのために、「地域の子どもからお年寄りまで、それぞれの抱える課題に関連した福祉サービスと、それらを含めた地域社会のすべての人が交流する場(空間)を提供することで、すべての人が支えあい地域の課題解決に参画していけるようになることを目指す」と謳っています。

大きな違いは、地域に暮らす精神障害者や心の問題に悩む方々を対象としていたことから、地域の子どもからお年寄りまでと対象範囲を拡大したことです。

より地域に密着し、「みんなの福祉」を考え、実践する組織になりつつあります。


取り組みが多様化したのはなぜですか?

そもそも「日本にトリエステを作る!」と始めたイタリアの精神保健福祉の取り組みですが、地域に密着してサービスを展開すればするほど、地域を取り巻く社会問題の深刻さに頭を悩ませるようになったんだよね。

これは、精神保健福祉だけやっていてもダメだなと。

精神障害と非常に密にリンクしている「貧困」という問題も顕著に見えてきたし、人生のライフステージそれぞれにおける適切な支援の必要性…

「もっと早い段階で彼らと接することができていたら?」
「彼らが今後受けることになる介護のより良い在り方は?」

などなど、地域に密着すればするほど、考えることは増える一方です。


「地域福祉」をアップデートせよ!

また、いち市民としてこの「地域」そのものへのアプローチも可能であると考えています。

先に話した地域福祉や社会問題に関することを、自分事として受け止め、行動に移している人は決して多くありません。
福祉人として地域の社会保障を担いながら、地域人として同じ土地に暮らし働く人たちと、地域の課題を一緒になって考える…

自分が考える地域コミュニティは、子どもからお年寄りまで、障害や貧困もジェンダーもない、あらゆる人が住んでいるこの地域社会を、みんなの力で支え合い、より住みやすい場所に作っていくことだと、強く思っています。


「地域」と「福祉」それぞれに対してアプローチしていくのですね。

そうです。

複雑に絡まりあった地域課題を解決していく取り組みは「まちづくり」に近づいていくんだろうと思っています。


具体的にはどのような取り組みを?

廃校となった稲敷市内の小学校を活用して、児童、障害者、高齢者、生活困窮者などの総合的な福祉サービスと、地域住民が利用できる交流スペースを生み出します。

「みんなの学校プロジェクト」と名付けたこの取り組みを通じて、地域に内在する偏見や差別の解消、社会問題や福祉への課題に対する理解を深めることで、誰にとっても安心して過ごせる地域づくりを進めていきたいと考えています。

詳細は、また事業が進み次第お伝えしていきますね。


ワクワクしますね!何かが変わるような期待を寄せてしまいます。

そう!

その感覚が一番大事だなぁと思っています。

「『みんなの学校』から稲敷が変わるかも…」と思わせられたら、それは私たちの思惑通りです。(笑)


その他、大きな変化はありますか?

「みんなの学校プロジェクト」の運営開始に伴って、社会福祉法人を新設します。

幅広い福祉サービスを展開する事業主体として、また社会問題を地域のみなさんと考えていく中核団体として組織していけたらと考えています。


新たな法人が立ち上がるのですね!これまでとの違いはありますか?

これまでは「走りながら考える」をモットーに、スピード感とその時々のニーズを汲み取りながら事業を拡大させてきました。

これからは、より公共性の高い組織体として、堅実な運営を心がけたいと思っています。

とはいえ、これまでの速度を落とすつもりも全くありません。

地域密着で培ってきた信頼性を元に、これからも私たちの考える「福祉」を提示しながら、地域社会のアップデートを図っていきます。


ありがとうございます。最後にひと言いただけたらと思います。

元号の年に新法人設立と廃校プロジェクトを行う、その決意を断固たるものとする2018年とすることができました。

今年はその決意をしっかりできるように活動していきたいと思います。

まだまだ勉強不足でご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、みなさまこれからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします!

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貧困の連鎖は無料塾で解決できるか。

ちょっと前に、Peing-質問箱-にて質問をいただいたので、今回はブログの方でもご紹介します。

てらこむって大体何人くらいの子供が加入?会員?
しているんですか?

根本敏宏@SMSCの質問箱

【回答】
てらこむに登録している子どもの人数は17名です。
週1回のサービスですが、平均して6.76人の子どもが参加しています。
ちなみにサポーターは、有償・無償スタッフ合わせて5〜6人で対応しています。

Peing-質問箱-は、匿名で質問をする&質問を受け取れるサービス。質問箱は5秒で作成完了。URLをTwitterやInstagramに投稿して、いろんな人の質問に回答しよう!

Peing(ペイング) -質問箱- 匿名で質問を受け取ろう

上記のサービスは、匿名で質問ができるっていうのところが質問者へのハードルが低くていいかなと思います。

ちょっと前に話題になってたので、とりあえず自分も始めてみたという流れです。
私の質問箱はこちらです。 → https://peing.net/ja/toshi_ne
ちなみに質問箱をメインでやっているtwitterはこちら。 → @toshi_ne

今回質問箱を投稿したのは、質問箱の紹介ではなく、子どもの学習支援てらこむについて書こうと考えてた時に、ちょうど質問が送られてきたっていう感じなのだ。

なんという絶妙なタイミングなのだ。
Peingよ、そして質問者さんもありがとう!

過去のてらこむ記事①

過去のてらこむ記事②

事業を初めて1年半も経ったので、学習支援を継続して行ってきたことでの変化と課題とかを書いていこうと思う。


子どもの学習支援事業って?

「子どもの貧困対策」のための学習支援事業です。

うちでは個々の学習意欲や能力に合わせて、授業の復習や宿題、受験対策等の学習支援、コミュニケーションなどの生活技能訓練、スポーツや遊びを通じたレクリエーションなどの支援を行っています。
特に子どもたちの居場所としての機能が強いです。学校以外のコミュニティとしてのね。

ちなみに茨城県内では17団体が行っている。
SMSCはその中の一つで、稲敷市の委託を受けて行っています。
厚労省の資料 → こちら。


これまでの活動実績として

H29.4〜3月までの平均児童数 3.97人(登録児童14名)
H30.4〜7月までの平均児童数 6.76人(登録児童16名)
*昨年に比べ、安定して通える子が増えている。

(市の対象児童者数)
平成29年度 18世帯 29名
特に支援が必要とみられる児童数

(不登校者の推移)
平成29年度
14名の登録児童のうち7名が不登校。そのうち4名が登校できるようになる。
平成30年度
1名は登校できるようになり、1名は教育委員会の運営する適応指導教室に通えるようになった。


子どもの貧困から見える様々な社会問題

子どもの貧困は、経済的理由で進学を諦めなくてはいけない面や塾に行けないことによる学力の低下など、「貧困の連鎖」としてクローズアップされてきたことで増えてきた。

【茨城新聞】学習支援 無料塾「もっと必要」

茨城新聞  *この記事は現在リンク切れです。

ちょっと古い記事だけど。
貧困の連鎖を無くしていくためには無料の学習塾で学力アップが必要だって。

これまで活動してきて、勉強もそうだけど「それだけじゃないよ」っていうことがかなり見えてきたと思う。

子どもが高校に受かりました。
でもお金がなくて継続して行かせることができません。
だからアルバイトをさせます。

(当事者の母の声)

そもそも受けたところが公立じゃなく私立だったからね。
そうなるだろうと思ってた。


この問題はどこか?

生活保護では、私立での学費面やその他費用までカバーできない。
だからお金が足らなくなるのは分かっていて、それを何度も親に説明してきた。
でも想いは伝わらず、私立に入って結果いけなくなるという最悪の結果。

無料塾で勉強しても、金銭管理という別の課題で高校という次のステップへ行けないんだよね。

こういう問題は数知れずで、学力だけじゃなく、お金の使い方や様々な生活スキルも学べていない。勉強以外の部分での教育もほとんどされていないケースが多いんだよね。

こういうことってこの親だけが悪いわけではなく、その親も貧困の連鎖を受け継ぎ、また次代に受け継ごうとしている状態が今ってことだから、親を責めても仕方ないことなんだ。
この問題も貧困の連鎖。


子どもの貧困にもレイヤーがある

子どもの貧困にもかなりのレイヤーがある。

子どもを塾に行かせたいけど、お金がなくて行かせられないんだよね。
という問題は多いと思うが、貧困層からするとかなり上のレイヤーに入る。
これは無料塾で解決できる場合は多いと思う。

問題その下のレイヤー。
親のネグレクト、虐待。無職。お金の使い方。お酒や薬物などなど。
いじめや引きこもり。軽度の障害だってこともある。

この部分は勉強以前の問題だし、各レイヤーに合わせた対応や支援が必要になる。

だから塾とか学習などのサポートだけでは足りなくて、本人と家族、そこに関わる人々の支援と環境調整などのソーシャルワークが絶対的に必要なんだよね。


てらこむの体制と今後の活動

てらこむのサポートスタッフは現在5〜6名と少ない。
ただ、中心は社会福祉士と精神保健福祉士が行なっている。
そのため学習より居場所機能やソーシャルワークが中心だ。
もちろん勉強の支援も必要なので、その辺は先生のOBやeラーニングを利用している。

1年活動してきた実績から、役所の生活福祉課を中心に障害福祉課、子ども家庭科、社会福祉協議会、教育委員会、そして学校と連携できるような体制になってきている。

この部分をさらに強化して、支援に合わせた他職種連携のチームとなって、子ども本人を中心とした関係者を含めて支援できるようにしていきたいと思う。

子どもの支援には、学習以外のソーシャルワーク支援も必要だからね。

以上、まだまだ書きたいことあるけど、長くなったので終了しますね。

子どもの学習支援事業てらこむについては → こちら

新法人を設立しますという決意表明

自分は面倒くさがりで、これからもなんだかんだ先延ばしにしてしまうこともあるので、あえての決意表明です。

言ってしまったらやるしかない。
「背水の陣」そういう思いです。


新たに立ち上げる法人は社会福祉法人

社会福祉法において社会福祉法人とは、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と定義されています。ここでいう「社会福祉事業」とは、社会福祉法第2条に定められている第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいいます。また社会福祉法人は、社会福祉事業の他公益事業及び収益事業を行うことができます。

社会福祉法人について(厚生労働省)

実は社会福祉法人を設立しようとしたのは、NPO法人を立ち上げる時にも考えていたことだ。

将来的に様々な福祉ニーズに対応したコミュニティを作ろうと考えていたので、公共性も含めて社会福祉法人化した方がいいだろうと、ぼんやり未来予想図を思い描きながらNPO法人を設立した。

現在は障害者支援事業と生活困窮者支援事業を行なっているけど、これ自体はNPO法人でも運営することはできる。なので法人格を変える必要はない。


では、なぜ今になって設立するのか?

それは、これから行う事業が総合的な福祉サービス事業であるということ。

高齢者、障害児を含めた児童、障害者、生活困窮者等の制度を超えた福祉サービス事業を複合的に行っていくので、とても公共性が高い。

さらにより公共性の高い事業を行うこともできる。

それに公共施設を利用する可能性があるというのもある。

もちろん自分にとっても莫大なお金(設備等事業開始資金)がかかるというもの大きい。

そう、いろんな事情が重なり合って作ることを決めたんだ。

しかも来年には新元号になるというから、この上なくタイミングもいい。

そういうことだ。

自分の行動のきっかけは、もちろん自分の意思もあるけど、大きな一歩を踏み出すための外的要因も大きいように思う。

一歩を踏み出すのは意外に難しい。

だからこそ、きっかけになる外からの影響、タイミングは大事だと思っている。

結局は大いなる何かに動かされているんだろうなとも思う。

ちなみに社会福祉法人で行う事業について詳しく書いていきたいんだけど、まだまだいろいろなことが本決まりではない。
そのため、もう少し話が進んで、伝えられるようになったら書こうと思う。


思い立ったが吉日

新元号が変わるタイミングで法人を立ち上げると言ったけど、まだまだ理事や評議員その他諸々についてや、設立準備会など、あらゆることが何も決まっていない…。

決まっているのは来年の5月から開始するというスタートのみ。
こういうところが自分らしいとも思う。

これから急ピッチでいろいろ進めていきます。

果たして果本当にできるのだろうか?

自分も関わりたい。
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