11月16日(水) 9:00~19:00 トリエステ視察研修にて。
①ガンビニ精神保健センター
②一般病院の中の精神科救急外来
③就労系のリハビリ労働組合
④ジェンダープロジェクト
ガンビニ精神保健センター視察
「精神医学はエセ科学だ!」
そもそも精神科学はあるのか?
ないものを作って人を区別しているだけではないのか?
精神病院はどこでもそうだが隔離されている。
そもそも隔離というのは本人のためではなく管理する側のために行っている。
苦しんでいる状態で精神病院に来ても良くなる人はいないよ。より悪くなる。
精神病で苦しみさらに自由も奪われる。
それは良くないことなんだ。
だから自由を取り戻そうとした。
患者さんを病気で判断するのではなく、その人の持つ特性や環境で考えること。
でも精神医学は分析的なもので、社会的な側面が全くないんだ。
患者さんが良くなるには、社会的な側面のサポートが必要なのにね。
人としてどう生きているか?
常に向き合わなければ患者に向き合っているとは言えない。
病気や症状だけで本人を見るのではなく、生活の主体者として本人を見なければいけない。
※これは私見ではなく、トリエステで言われていたことです。

イタリアでは、各州内にある地域の地域医療事業体(ASL)において精神保健サービスが配置されている。精神医療や予防、様々なケアサービス、リハビリテーションなども行っている。
地域にはガンビニ精神保健センターのような地域精神保健センターが配置されていて、総合病院内の精神科救急病棟、デイケア、リハビリテーション施設、グループホーム、労働組合などと連携している。
視察したガンビニ精神保健センターの機能としては、日本でいうクリニック、訪問診療、薬局、デイケア、地域活動支援センター、リハビリテーション、ホームヘルプサービス、ショートステイ、その他ソーシャルワークサービスといったところだと思う。
あらゆる機能を持っている。
センターは月曜から金曜と日中に開いていて受診もできる。
訪問活動を積極的に行っていて、各患者の重症度などニーズに応じて治療・介入方針が決められている。
誰でも入れて、誰でも出ていける開けたコミュニティーのような感じだった。
他の機関として、総合病院の救急医療、労働組合のような就労の場、グループホーム、様々な市民団体と協力して患者さんの支援を行っていた。
チーム構成は多職種で、精神科医、看護師、心理士、福祉士、作業療法士、リハビリテーション技術者、教育職、事務職から構成されていると思う。
ただメインは、精神科医、看護師で6割くらいを収めている。
精神科医療者も白衣を脱いで当事者と向き合い、医療モデルではなく、生活モデルで対応しているとのこと。
そして、精神科医も貧困問題、家探し、職探し等も一緒に行っているというから驚いた。患者さんをちゃんと生活の主体者として見ているんだなと感じた。
この部分は日本ではありえないでしょ!って思う。
まあ、そういう先生もいるかもしれないけど少ないんじゃないのかな。
では総合病院内の精神科救急はどうだろうか?
家族からもそうだが、クライシスや警察対応が多い。
これは日本と変わりないだろう。
で入院については?
症状や服薬等の検査に数日間かかり、その後退院して精神保健センターへと移すということ。
圧倒的に日本より早い。
結果がどうこうは分からないけど、地域でサポートするという姿勢が伝わってくる。
凄いね。
この研修で強く感じたのは、医療者が患者にそして地域に降りているということ。
医療モデルではなく、生活モデルを中心に医療から福祉が行われているということ。
精神病院をなくしたが、精神保健の中心は精神科医療が中心であるということ。
自分が考えていた環境の改善こそが必要だということ。
様々なことを学ばせて頂きました。
精神病院をなくしたイタリア。
でもサポートの中心には精神科の医療チームが存在する。
日本でも患者さんの支援には、あらゆるところで精神科医療が責任を担保している。
させられていると言う方ががいいのかな。
絶対的に必要な精神科の医療チームを中心に構成されて、連携している福祉サービスは素晴らしいなと思った。医療が生活モデルでやっているというのは前提だけどね。
いろいろな認識も変わった研修だった。
今回トリエステに来た目的である、保健福祉センターを中心とした他のサポートと連携した総合的なサービスの構築。
バザーリアが作りはじめてから、現在も行われ進化してきたサービスは、日本における法律とサービスを組み合わせれば作ることは可能だと思う。
ほとんどのことが同じようにできる。
制度的にはね。実現も可能だと思う。
でも難しい問題もある。
それは医療側の医療モデルか生活モデルの違い。
これは、うちではどうしようもないからね。
いろいろ困難はあるけど、新たな形で自分なりに表現していきたいと思った。
長くなってしまいましたが、ここで終わりにします。
書ききれないことはまた次に。
最後に、トリエステ統一教会のきれいな写真で。

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【総括】イタリアでの思い出
イタリア視察ツアーは、とても良い学びになったし、とにかく楽しかったという話。
昨年より、プログラム参加者が増えてるんだよね。はっはっ~!
職業訓練プログラムの参加者は22名で、1名が正規雇用されましたよって話。
トリエステだけじゃなく、アレッツォもすごいぞっ。
アレッツォには、バザーリアの前から生活モデルを実践している精神科医がいたんだよって話。
精神病はエピソードである。
精神病は症状が悪いときは治療が必要であるが、そうでない場合は必要がないものだって話。
これはクライシスだよね。
クライシスへの対応を含め精神病院へ押し付けるのではなく、福祉の力で地域生活を維持できるようにして行かないといけ…
ソーシャルファームジャパン in つくばに行ってきた。
凄いところはたくさんあるし、目指すべきところもまだまだ高いなという話。